SPMについて概要を教えてください。 | |
微小な針で,試料をかすかになぞって形状や性質を調べる,新しい顕微鏡です。 |
STMは特に超高真空中で原子分解能を誇りますが,反面,導電性の無い試料は観察できない,大気中では試料表面の汚染にたいへん敏感である,などの留意点があります。 一方,AFMは試料-探針間に働く力(引力のときも斥力の時もあるが力の正確な把握は難しい)を検出するので絶縁物試料も対象になり大気中でも観察しやすいという特長があります。 そのため,一般にはAFMが広く使用され,市販SPM装置もAFMを基本動作とするものが大多数です。 AFMを大別するとコンタクトモードとダイナミックモードに分類されます。 さらに,試料-探針間に働く他の相互作用を同時検� �することで,三次元凹凸形状だけでなく,試料表面の各種物性を画像化することができるようになってきており,それらを合わせてSPMと呼びます。 SPMに多くの種類が考えられることを念頭に,検出物理量としてXを当ててSXMと言うこともあります。
SPMは,1980年代に発明された歴史の新しい装置です。 STMが1981年,AFMは1986年に発明されています。 STMの発明により超高真空中でSi(111)の7×7構造が実空間像として明瞭に観察されました。 その功績に対して発明者のビニッヒ,ローラーら(IBMチューリッヒ)にノーベル賞が授与され,一躍有名になったことは記憶に新しいです。 SPMは従来の光学顕微鏡や電子顕微鏡と異なるビームやレンズによる縮小拡大を使用しない変わった顕微鏡ですが,特定の条件と試料に対して原子・分子� �見分けることができ,拡大能力では透過型電子顕微鏡に並びます。 大気中や溶液中で使用できるのも大きな特長です。 今後も,ナノテクノロジー研究に必須の顕微鏡装置として一層の応用の拡がりが期待されています。
3文字と、NASAの車両は何ですか?
SPMの基本原理を説明してください。 | |
微小な針を持つカンチレバーの反りや振動を検出して,試料形状や表面物性を観察します。 |
AFMでは,カンチレバーと呼ばれる,探針が形成された片持ち梁(梁の一方が固定され,他方が固定されていない梁のこと)を力検出に使用します。カンチレバー先端の探針と試料との間に働く微小な力(原子間力)によってカンチレバーの反りや振動が変化します。その変化を,カンチレバー背面に照射したレーザ光の反射により感度良く検出します。同時に,カンチレバーまたは試料のいずれかは,ピエゾ素子を用いたスキャナにより三次元的に精密走査・制御されます。一般に,カンチレバーは試料表面上(XY平面)を走査しつつ,反りが一定(コンタクトモード),または振動が一定(ダイナミックモード)になるように,試料からの距離(Z高さ)をフィードバック制御します。
走査のそれぞれの位置(X,Y軸)に対応したZ軸のフィードバック量(スキャナへの出力電圧)を計算機に取り込み,三次元画像として再生処理することにより,試料表面の三次元凹凸像(試料表面の形状観察像)を得ることができます。凹凸像は,濃淡表示や疑似カラー表示,三次元鳥瞰図で表現され,画像解析処理(オフラインソフトウェア)で,任意の断面形状を解析したり,面の粗さ解析を行なうことができます。SPMの基本構成を上図に示します。
島津のSPM機種では,基本となるAFM凹凸像と同時に,電流や電位,硬さや粘弾性など試料表面の物性情報を反映した信号の画像を取得することができるようになっており(一部,オプション),各種のSPM手法が利用できるようになっています。
コンタクトモードとダイナミックモードの違いは何ですか? | |
カンチレバーの反り具合を検出する手法がコンタクトモードで,カンチレバーを振動させる手法が ダイナミックモードです。 |
AFMの動作モードにはいくつかの種類がありますが,おおまかに,コンタクトモード(DCモード,静的モード)と,ダイナミックモード(共振モード,ACモード,動的モード)に分けられます。
大気中コンタクトモードでの観察中は,探針が試料表面の吸着水膜(コンタミ層)に浸かっている状態で走査しています。このため,カンチレバーは試料からの斥力以外に凝着力(メニスカスフォース)の影響を受け,横に引きずり線のようなノイズが入った画像が得られる場合があります。このため,動きやすい試料,柔らかい表面の撮像には不向きです。
ダイナミックモードは,カンチレバーに縦方向の励振を加え,共振周波数付近で振動させます。この状態でカンチレバー先端の探針が試料に接近すると,振幅が変化します。この現象を利用して振動振幅が一定になるようにフィードバック制御を行ないます。走査時に探針が試料を引っかくことが少ないため,動きやすい試料や吸着性のある試料に向いています。また,ダイ� ��ミックモード用カンチレバーはコンタクトモード用と比べてバネ定数が大きく硬いため,静電気の影響も受け難くなっています。位相モードを使用すれば,凹凸形状観察と同時に位相信号が得られることも特長です。最近では,ダイナミックモードがAFM手法のなかでも標準的なモードになっています。
以下が,両モードの比較です。
コンタクトモードとダイナミックモードの比較
0 件のコメント:
コメントを投稿